書いてしまいました、初のマ王小説。
朝から携帯のメモにちびちびと打ち込みまして。
更新できるか不明なのと、細かい文章の直しをしたいのでこの場で先に公開させて頂きます。
ヴォルフラム一人称(超苦手)、コンラッドと険悪になった理由、みたいな話です。
暗いですな。いつものことですが。
以下追記デス!
父上の、そのまた父上のいとこの息子。
何という言葉で表せばいいのかよく判らないけども、とにかく遠い親戚の貴族の集まりに僕1人だけが呼ばれた。
僕は1人だけの遠出を単純に喜んで、母上は幼い僕が招待を受けたことに不思議そうな顔をしたけれども、断る理由もないからと僕の遠出を許してくださった。
もっとも、浮き足立った気分は当のおとな達によって真逆のそれに変わったのだけど。
――汚らわしい人間の血が
――いつ裏切るとも知れない
――我らの系譜に汚れた名を連ねばならない
――あいつとは口をきいてはいけない
――いいか、ヴォルフラム
――あいつは汚いのだから
おとな達が、口々に兄上を蔑む言葉を僕に吹き込んだ。
僕は、それを聞いて。
やさしい2番目の兄を悪く言うのを聞いて。
城に帰るなり、帰宅の挨拶もそこそこに部屋に閉じこもって、布団の中でただ泣いた。
理由は判らないけども、ただ胸が詰まって、それをこらえることが出来なかった。
「道理で僕だけを招待した訳だ」
少しだけ嗚咽が引いて、ぽつりと呟いた。
おとな達は、僕に兄上の悪口を吹き込みたかったんだと、何故最初から気付かなかったのだろう。
「聞きたくなんか、なかった……っ」
兄上は、にんげん。
知らなかった。知りたくもなかった。
口をきいてはいけない。汚らわしい人間。裏切る。汚い血。
おとな達の悪意が、耳元で囁かれているみたいに直接頭に響く。
兄上の淋しそうな笑顔がそれに被る。
「いやだ」
汚い。裏切る。兄上が。やさしい兄上が。
「やだ、聞きたくない」
布団を被って、手がだるくなる位にきつく耳を塞いでいるのに。
おとな達の声は、どこまでも聞こえて来て。
「いやだ……っ!」
軋んだ様な声が、咽を震わせた。
堅く目を閉じて、体温が移ってぬるくなった布団の中で体を縮めていると、不意に冷たい空気が体に触れた。
「ヴォルフ? どうしたんだ、上着も脱がずに」
同時に、耳に心地良く馴染む声が心配そうに尋ねた。
「兄、上……」
今日、初めて自分と違ういきものなのだと知らされた、当の本人を僕はただぼんやりと見つめた。
「ヴォルフラム、体調が悪いのか?」
焦点の合わない僕を見て体調を崩したと思ったらしく、兄上が眉を潜めた。
頭が脈打つみたいに痛い。
暖かい布団の中に居るというのに、不定期に背筋に寒気を感じる。
確かに、熱を出したのかも知れない。
無意識に兄上の手にすがろうとした手を、しつこく頭の中で繰り返されるおとな達の声が止めた。
汚い血が。裏切る。口をきくな。
あいつは卑しい人間なのだから。
いいか、ヴォルフラム。
「ぃ……やだ、っ」
一際大きな悪寒に呑み込まれて、誰にともなく訴えた。
一体何が厭なのだろう。
脳を揺さぶるおとな達の声が?
それとも、人間の血が混じった兄上のことが?
「本当に具合が悪そうだな。熱は」
「……っ、触るなっ!」
物心付く前からよくそうしてくれたように、熱を測ろうと伸ばした左手を強い拒絶の言葉と一緒に振り払った。
頭が痛い。頬が熱い。寒い。
おとな達の声が大きくなる。
混乱する。
汚らわしいと兄上を卑下したのは、おとな達?
それとも、僕?
「――汚らわしいっ!」
混濁した意識の中、僕が自分の発言に気付いたのは呆然と目を見開いた兄上の顔を見てからだった。
僕が振り払った手が行き場を失くして固まっていた。
取り返しのつかないことを、言ってしまった。
「――ぁ」
自分の作り出した沈黙が苦しくて口を開くと、兄上は淋しそうに笑った。
「そうか。すまなかったな」
微笑んだ目元の、光を乱反射した銀色の虹彩が、涙の様に見えた。
「夕食は……食べられそうもないか、その様子じゃ」
そっと、僕に触らないように注意した手つきで、兄上が布団を引き上げる。
「お休み。ゆっくり眠れよ。お前は丈夫なたちじゃないんだから」
昔と変わらない、やさしい兄上の声。
僕との関係は、決定的に変わってしまったのに。
僕が、変えてしまったのに。
おとな達があなたを蔑んだ。
僕はそれに倣った。
それだけのこと。
変わってしまったのは、 変えてしまったのは、僕。
僕がごめんなさいと謝れば、兄上は気にしていないよと笑っただろうとは思うけれど。
けれども僕は、もしも兄上が許してくれなかったらと考えると、そのことが恐くてたまらなかった。
許せないと、兄上の口から聞かされることが耐えられなかった。
僕を許し難く思っても、きっと兄上は泣きそうな顔で笑うから。
兄上の表情が常に陰りを帯びている理由が、やっと解った。
兄上は何度、理不尽な蔑みを身に受けて来たのだろう。
身体に人間の血が交じっているというだけの理由で。
だからきっと、僕が兄上に浴びせた暴言も、兄上にとっては大した事ではないのだろう。
彼を蔑む不特定多数の悪意の中に、僕が仲間入りしただけ。
たった半分、同じ血が流れた弟が仲間入りしただけ。
それだけ。
「ごめんなさい」
きっちりと閉められた扉の向こう側に姿を消した、広くて哀しそうな背中に届かない言葉を投げた。
声が届かないと知っているからこそ。
今更謝ったからって、僕の言った事が許されるなんて思っていないから。
拒絶される事が恐いから。
「ごめんなさい……っ」
本当はこんなにも大好きなのに。
止まらない謝罪の言葉と涙が、火照った顔に冷たかった。
ヴォルフラムに「あにうえー」とか言わせてみたかっただけというオチのお話です(ぁ)。
嘘ですけど。
2人は絶対、昔はらぶらぶ兄弟だったんですよ!!
コンラッドは今でもあからさまにヴォルフ愛ですし、ヴォルフもコンラッドが行方不明になった時泣いたし!!(少々脳内変換されておりますが)
何だか展開が急過ぎて、ヴォルフの口調がぎこちなくて気に入りませんです……
最初から最後まで暗いですが、きっと2人の間には複雑な想いがあったのだろうな、と思いまして。
以上!